長引く腰痛の疑問にこたえるサイト
強直性脊椎炎は一般的な腰痛とは異なり、放置していても症状は改善しません。
まずは原因や症状・治療を知ることが大切です。
X線による画像検査が中心で、腰の周辺を撮影します。仙腸関節(せんちょうかんせつ)と呼ばれる関節の様子(関節のすきまの程度や、骨の状態)を観察します。CTやMRIによる検査が行われることがあります。
強直性脊椎炎に関連があると言われている、白血球にある抗原のHLA-B27という因子の有無を確認したり、炎症の程度を把握するためにCRPというマーカーを調べることがあります。
長引く腰痛があり、炎症性腰背部痛の基準を満たした場合、
強直性脊椎炎の可能性が高くなります。
強直性脊椎炎の診断には、通常はX線などの画像診断、背骨や股関節の動きを
調べる検査、さらに白血球の型や炎症の程度を調べるための血液検査を行い、
強直性脊椎炎の分類基準を参考に、鑑別診断を除外したうえで診断されます。
一般的には、改訂ニューヨーク基準という分類基準が用いられます。
強直性脊椎炎と確定診断されると治療が始まりますが、
強直性脊椎炎は現代の医学では根本的に治すことができません。
痛みを抑えながら積極的に体を動かすことで痛みを軽くしたり、
脊椎や関節の動きに制限がかからないようにして、
こわばり感を抑えることが期待できます。強直性脊椎炎の治療は、
薬剤による治療や運動療法などが推奨されています。
・非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)
・サラゾスルファピリジン
・ステロイド薬(局部注射)
・TNF阻害剤
・IL17阻害剤
・JAK阻害剤
強直性脊椎炎による炎症や、骨、関節の変化を把握するために、画像診断が行われます。
最も汎用されている画像診断が仙腸関節(臀部にある関節)のX線画像診断です。
どうやってとるの?
仙腸関節は、正面からの画像では、仙骨と腸骨が重なってしまい誤診(過剰診断)を招きやすいため、
角度をかえることが一般的です。
仙腸関節の正しい撮影法
斜位での撮影
仰向けになり、両方の腕を上げ、両方の足を揃えます。(可能であれば、股関節、膝関節を曲げる)
より痛みの強い身体側を15°〜30°持ち上げ、臀部に枕などの柔らかいものを挟みます。
X線(レントゲン)は、仙腸関節部に15°上方に向けて斜めに撮影します。
臨床的に広く使われている分類基準です。しかし診断確定には仙腸関節のX線所見も必要なため、
早期の強直性脊椎炎を診断するには適さないと言われています。
改訂ニューヨーク基準
T.臨床症状
腰背部の疼痛、こわばり(3カ月以上持続、運動により改善し、安静により改善しない)
腰椎の可動域制限(前後屈および側屈)
胸郭の拡張制限
U.仙腸関節のX線所見両側2度以上、または片側3度以上の仙腸関節炎所見
0度:正常
1度:疑い(骨縁の不鮮明化)
2度:軽度(小さな限局性の骨のびらん、硬化。関節裂隙は正常)
3度:明らかな変化(骨びらん、硬化の進展と関節裂隙の拡大、狭小化または部分的な強直)
4度:関節裂隙全体の強直
V.診断基準
臨床症状の1、2、3のうち1項目以上 + X線所見
a)臨床症状の3項目
b)臨床症状なし + X線所見
[ASDAS],[BASDAI],[BASFI],[BASMI]の4つの指標から
強直性脊椎炎の状態を測定し、判定することができます。