強直性脊椎炎について
強直性脊椎炎は一般的な腰痛とは異なり、放置していても症状は改善しません。
まずは推定されている原因や患者さんの特徴、症状・検査所見・治療方針を知ることが大切です。

※強直性脊椎炎は、最近では「体軸性脊椎関節炎」という名称になりつつあります。
理由は、「強直性」を意味する英語名「ankylosing」の持つイメージが良くないためです。
本サイトでは、現在、厚生労働省や日本の学会に正式名として採用されている名称「強直性脊椎炎」で表記します。
強直性脊椎炎(きょうちょくせいせきついえん)とは、
骨盤(仙腸関節)や脊椎の炎症が原因で起こるリウマチ性疾患です。
その長引く腰痛、実は強直性脊椎炎かもしれません。

原因はいまだに不明の疾患
強直性脊椎炎がどのようにして起こるのかについて、まだよく分かっていません。
さまざまな遺伝的な要因が元になって、腸内細菌の関与や仙腸関節などに対する機械的なストレスをきっかけとして生じた免疫異常による炎症が、持続すると考えられています。
患者さんの多くが白血球に存在するHLA-B27に関する遺伝子を保有するため、重要な要因と考えられています。
TNFーα(腫瘍壊死因子)と呼ばれる炎症物質
炎症が発生すると、痛みや運動障害などの症状がみられます。
炎症が起こっている場所は主に仙腸関節、脊椎などですが、TNF-αと呼ばれる炎症物質が大量に作られていることが分かっていて、これが症状を引き起こす要因の一つだと考えられています。
10〜30歳代の発症例がもっとも多く、
男性の患者さんの方が多い傾向にあります。
年齢
強直性脊椎炎は、多くは10〜30歳代までに発症し、40歳を超えて似たような症状がある場合は、むしろ、他の病気を考慮したほうが良いでしょう。
10〜30歳代の時期に痛みなどの症状が強く出ます。男性では、50〜60歳代になると痛みはおさまる傾向にあります。

患者数
わが国では、強直性脊椎炎の患者さんは実際には3万人前後と推察されます。2018年の全国疫学調査の結果、患者数は3,200人と推定されました。
諸外国と比べて患者さんの数が少なく、診断が遅れがちなようです。診断がつくまでに平均9年程度かかるともいわれています。

男女比
強直性脊椎炎の患者さんの男女比は、3:1と男性が多くなっています。
男性に比べて女性では発症が遅く、軽症であることが多いようです。

(https://www.nanbyou.or.jp/entry/4847)
2023年10月16日確認